突然死が怖い「睡眠時無呼吸症候群」
近年、夜中の突然死の原因として注目されている病気に、睡眠時無呼吸症候群があります。 この病気は睡眠時に呼吸が断続的に停止するもので、1976年にアメリカの睡眠学者が「7時間以上の夜間睡眠の間に10秒以上の呼吸停止が30回以上認められる場合を睡眠時無呼吸症候群とする」という定義を提唱し、知られるようになりました。
現在の診断基準は、「睡眠1時間あたり10秒以上の呼吸停止が5回以上認められる場合」とされており、1時間に20回までなら軽症、50回以上は重症と考えます。 この睡眠時無呼吸症候群の9割は、上気道(鼻からのどにかけての空気の通り道)の閉塞だけで胸や腹の呼吸運動が保たれている閉塞型です。
その原因は、肥満や扁桃肥大、慢性副鼻腔(いわゆる蓄膿症)などののどや鼻の病気で、脂肪がふえて筋肉に締まりがなくなってくる中高年の男性に多いこと、習慣性の大いびきをともなうことなどが特徴としてあげられます。 無呼吸によって睡眠が分断されることにより、日中の過度の眠け、注意力や集中力の低下、起床時の頭重感や口の渇きなどの症状も出てきます。
そして、こうして夜間にきちんと眠れない状態が続くと自律神経(意志とは無関係に内臓や血管などの働きを支配している神経) のバランスが崩れて、血圧の上昇や不整脈が起こりやすくなったりし、最悪の場合は脳梗塞(脳の血管が詰まって起こる病気)や心不全で突然死する危険も出てくるわけです。 いびきのひどい太り気味の中年男性で、起床時に熟睡感が得られず、頭重感や口の渇きのある人は、家族に睡眠時の呼吸状態を確認してもらい、疑わしい場合には、早めに専門医の診断を受けるようにしてください。
横向き寝をして気道を広げる
睡眠時無呼吸症候群の治療は、肥満ならダイエット、扁桃肥大なら扁桃の摘出というように、原因によって異なります。 主に、肥満が原因の軽症のケースは精神科だけで対処しますが、この場合、ダイエットとアセタソラマインドという呼吸促進作用のある薬を使っての治療が基本となります。
そして、これらに加えて必要になってくるのが、寝酒、寝タバコの厳禁と、枕なし(または低い枕)の横向きの体位で寝ることなどの生活指導です。 アルコールやタバコはのどの粘膜を収縮させて気道を狭める一因になります。同様に高い枕を使っての上向き寝も解剖学上、もっとも気道が狭まる体位でよくありません。
頭を低くした横向き寝は、逆に解剖学上気道がもっとも開く体位なのです。枕がどうしても必要なら、真ん中がへこんだ形のものを使うのがよいでしょう。ただし、現実的に横向き寝を一晩じゅう継続するのは難しく、多くの人は「横向きで寝はじめたのに、途中で無意識のうちに上向きになってしまう」と訴えます。 そこで、横向き寝を維持する1つのアイディアとしてすすめるようになったのが、パジャマの背中側に硬式のテニスボールを装着して寝る方法です。背中にボールがあれば背中が痛くて上向きでは寝られないので、寝返りを打っても自然に横向きが保たれるようになるわけです。 ポケットの口をボタンやスナップで止められるようにしておけば、睡眠中にボールが飛び出すこともありません。
睡眠時無呼吸症候群で治療中の人やいびきでお悩みの人は、ぜひお試しください。 抱き枕も効果的です。枕を抱くことによって横を向けるのでいびきを防止できます。 →王様の抱き枕