トイレを快適な空間にする芳香剤や消臭剤は、現代の生活に欠かせないアイテムです。しかし、その便利な香りが、体からの重要なサインである「尿の臭い」をかき消してしまうリスクがあります。健康管理の視点から、芳香剤との付き合い方と尿の異変についてまとめました。
トイレの芳香剤に注意!「尿の異変」という体のSOSを見逃さないために
トイレの芳香剤や、除菌効果のある色つきの洗浄剤などが数多くでまわっています。スーパーやディスカウンセンターには多数のコーナーがあり、お客さんで賑わっています。
清潔時代に排泄物の汚さががまんならないというところでしょうか?確かに、排泄物には細菌が繁殖しやすいので、トイレの衛生には十分配慮しなければなりません。 しかし、健康な人の排泄物そのものは、そう汚くはないのです。とくに腎臓でつくられ、膀胱を通って排泄されたばかりの尿は、無菌状態といえるほどです。 便の中身はこちらです。
腎臓にも膀胱にも細菌が住み着かないためだ。極端な話だが、遭難して飲み水がないとき、きれいかどうかわからない生水を飲むよりは、排出したばかりの尿を飲んだほうがいいという人もいます。
また、尿は、健康のバロメーターにもなり得る重要なところです。量や回数、色や臭いの変化で、体が異常をきたしていないかどうか、ある程度わかるのです 健康な人は、1日に4~5回、量にするとペットボトル1本ぐらいの尿を排泄しています。回数があまり少ない場合、腎臓病や結石、がんなどの病気の危険性もあります。
逆に、回数が多い場合には、前立腺肥大、膀胱炎など泌尿器の病気、あるいは糖尿病の疑いがあります。また、精神的な病気でトイレが近くなるケースもあります。 女性は、トイレに立つのを我慢していたりすると、尿道にいる細菌が膀胱内まで入り込んできて増殖するため、膀胱炎などにかかりやすくなります。
十分な注意が必要です。尿意を我慢することは体にはメリットがありません。 次に色ですが、健康な人の尿の色は淡い黄色とされています。血尿などで、尿に赤みが混じる場合は、その赤さ加減である程度病気が判断できます。
赤褐色の場合は、尿の出口から遠いところに出血があり、真っ赤な場合には膀胱など出口に近いところで出血していることになル場合が一般的。 前者は腎臓がんや腎結石など、後者は膀胱炎や膀胱がん、尿道結石などの危険性があります。ただ、尿の色は、ビールなど飲んだものにも影響をうけるので、淡い黄色でないからといってすぐに心配する必要はありません。
汗をかいた後や寝起きなどでも色が濃くなるし、逆に水分を多くとったときなどは色が薄くなり、透明に近くなったりします。 また、臭いですが、健康な人の尿にはほとんど臭いはありません。ただ、排泄したままにしておくと、増殖した細菌に尿素が分解されるため、アンモニアを発生します。それで独特の悪臭を放つようになるのです。
この臭いも色と同様、ある程度食べたものに影響をうけます。ニンニクなど臭いの強いものを食べるとその臭いがうつったり、先にあげたビールや洒などはアルコール臭がします。 ただし、排泄したばかりの尿から、嫌なアンモニア臭がするような場合は、勝胱炎などの疑いがあるので注意しなければいけません。
果物が熟れたような酸味の強い臭いがする場合にも、糖尿病などの疑いがあるので病院で診断してもらったほうがいいでしょう。むかしはこういった色や臭いの変化で、トイレで病気にいち早く気付いたのです。 芳香剤や抗菌グッズ、果ては大便の臭いを消す錠剤などを使用して喜んでばかりもいられない。清潔時代に思わぬ落とし穴があることにも気づかなければいけないのです。 バス・トイレの臭い対策もこちらならOKです。
まとめ
なぜ芳香剤が「SOS」を隠すのか
尿は全身を巡る血液の老廃物を排泄したものであり、内臓疾患や代謝の異常が真っ先に現れる「情報の宝庫」です。通常、健康な尿はわずかなアンモニア臭がする程度ですが、病気が隠れていると特有の臭いを発することがあります。 強力な芳香剤を使用していると、これらの異変に鼻が慣れてしまい、初期症状を見逃す原因となってしまいます。
注意すべき尿の臭いと病気のサイン
以下の変化を感じた場合は、単なる体調不良ではなく疾患の可能性があります。
- 甘酸っぱい臭い:糖尿病の悪化により、体内でケトン体が増加しているサインです。
- 強いアンモニア臭:膀胱炎や腎盂腎炎などの細菌感染が疑われます。尿が体内で分解されることで臭いが強まります。
- ドブのような臭い:肝機能の低下や、重篤な肝疾患の疑いがあります。
- 腐った卵のような臭い:代謝異常や遺伝性の疾患が隠れている場合があります。
健康を守るための対策
芳香剤を完全に否定する必要はありませんが、以下の習慣を取り入れることが推奨されます。
- 無香料タイプを選ぶ:悪臭を香りで被せるのではなく、化学的に分解する無香料の消臭剤なら尿の異変に気づきやすくなります。
- 用を足す直後のチェック:芳香剤が香る前に、まずは自身の尿の臭いや色を数秒確認する習慣をつけましょう。
- 換気の徹底:香りに頼りすぎず、換気扇や窓を利用してこまめに空気を入れ替えることが大切です。
結論
トイレは単なる排泄の場ではなく、最も身近な「診察室」でもあります。毎日の尿の臭いや色の変化を把握することは、病気の早期発見に直結します。芳香剤の使用を工夫したり、無香料のものに切り替えたりすることで、体からのSOSを確実に受け取れる環境を整えていきましょう。