むずむず脚症候群を退けるための体操
足がムズムズするせいで、夜、なかなか眠れないと訴える人が増えています。これは「むずむず脚症候群」という病気の、典型的な症状です。むずむず脚症候群の不快な症状は、じっと安静にしているときに足の深部からわき上がってくる感じがします。
かきむしりたい衝動に駆られますが、皮膚の表面を引っかいても効果はありません。
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しかし、足を動かしたり、歩き回ったりすると、症状が軽くなります。足の運動が症状の軽減につながることを、経験的に知っている人も多いのです。 そのさい、より血流をよくする運動を行えば、神経の働きが整えられ、不快な症状が早く治まります。むずむず脚症候群は血流が割るときにに起こりやすいようです。
血流をよくしてむずむず脚症候群の不快感を退ける「足上げブルプル」という体操があります。 やり方は、身近な人に手伝ってもらう方法と、1人で行う方法の2通りがあります。自分で行う場合、条件によってやり方が少し異なるので、実際にやってみて効果のある方を行うといいでしょう。
人に手伝ってもらう方法
むずむず脚症候群の人をA、手伝う人をBとして、やり方を説明しましょう。
- Aはあお向けに寝て、両足を伸ばして軽く開く。枕は使わない。
- Bは中腰になって、Aの足首を左右の手で持ち、少しずつAの足を持ち上げる。
- Bは、2の姿勢のままAの足を軽く振ってぶるぶると5分間ほど揺さぶる
自分ひとりで行う方法
- 高すぎず軟らかすぎないいすを用意する。
- あお向けに寝て、両足をイスの上に上げ、足首から先が座両の外側に出るように調整する。ひざの角度は80~90度。枕は使わない。
- 足首から先の部分を、小刻みにプルプルと5分問ほど揺らす。
家に適当なイスがない場合は、あお向けに寝て、壁か柱に両足を持たせかけた姿勢で行います。ひざ痛や腰痛があって足が上がらない人は、あお向けに寝て、小型の枕(または巻いたバスタオル)を腰の下に入れ、足首から先をプルプルと動かすか、両足を強めに突っ張ります。このとき、息を止めないように注意。リラックスを意識します。 いずれの体操も、床に就く直前に行うと、不快な症状が軽減して寝付きがよくなります。施術の途中でうとうとする人もいます。
むずむず脚の不快な症状が改善
「足上げプルプル」を行って、むずむず脚症候群の不快な症状が消失した例です。数年前、むずむず脚症候群を発症し、コンサート会場や美容院などでじっとしているとき、ふくらはぎにムズムズ感を覚えたのが始まりです。
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以後、毎晩のようにムズムズ感が起こるため、眠れなくなってしまいました。当初、何かにかぶれたか虫刺されだと思い、皮膚炎の薬を塗っていました。しかし、全く改善しないため座骨神経通を疑って、整体に行ったのがきっかけでした。 比較的、坐骨神経痛の人は多いのですが、この場合、不快症状は坐骨神経によるものではなく、むずむず脚症候群のようでした。
むずむず脚症候群を改善に導く体操を行いました。それが足上げプルプルです 1人で行う足上げプルプルに適したイスがありません。そこでタンスの引き出しを利用し、両足を引っかけて、毎晩寝る前に屋上げブルプルを行ってもらいました。 調理用のタイマーを使って時問を計り、飽きないように歌を歌うなどして5分問の足上げプルプルを実行しました。
すると、半年ほどで、足の不快感は解消。その後、むずむず脚症候群は再発しておらず、不眠もすっかり治ったそうです。 次の方の場合の例です むずむず脚症候群は、妊娠初期に始まりました。夜、布団に入ると、ふくらはぎや太ももの後ろ側に小虫がはっているようなムズムズ感が出て、足先もほてり、眠れなくなったのです。 足の血流をよくする施術をした後、足上げぶるぶる体操を行いました。
足のほてりも強く症状としてあったので、キャベツの葉を使った湿布法も実践しました。足のほてりを取るには、市仮の湿布薬を使うのもひとつの方法です。 しかし、妊娠中の女性は、強力な鎮痛成分(インドメタシンなど) の入っている湿布薬を多用しないほうがいいといわれています。
そこで、きれいに洗って水けを取ったキャベツの葉を足に巻き重ねて、その上からタオルでくるみます。すると、体温でキャベツがしんなりして足になじみ、同時に熱感が取れてきます。 毎晩足上げプルプルを行ったあと、足にキャベツ湿布をして寝るようにしました。すると、足に爽快感があって、すぐに寝つけたといいます。その後も足上げプルプルを続けたところ、半年足らずでムズムズ感が解消。現在まで再発しておらず、ほてりや不眠にも悩まされなくなったそうです。
しびれの症状がある場合には温めて血流が改善すると治ります。
夕方~夜にかけて症状が悪化する
むずむず脚症候群とは、どんな病気なのでしょうか。むずむず脚症候群は、欧州では17世紀から知られている病気ですが、日本ではごくごく少数でした。名前も聞いたことがない人も多いかもしれません。
ところが近年、日本でも、むずむず脚症候群に悩まされる人が急増しているのです。最近の調査では、日本人の2~5% がむずむず脚症候群にかかり、患者数は推計で130~200万人にのぽることが明らかになりました。
女性は男性の約1.5倍発症しやすく、40代以降に増加し、最も多いのは60~70代という調査結果もあります。 また、鉄分の欠乏による貧血の人や、糖尿病の初期段階にある人は、むずむず脚症候群を発症しやすいとされています。
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さらに、慢性の腎臓病で人工透析を受けている人では、約28%にむずむず脚症候群が見られます。むずむず脚症候群は、夕方から夜にかけて、じっと座っているときや横になっているとき、足のひざから下の部分に蟻走感が現れたり、強まったりするのが一番の特徴です。
また、梅雨時から夏場にかけて、症状が悪化する人も少なくありません。これは、気温の上昇によって血管が拡張するためと考えられます。当然、冬期間でも発症します。 症状については、
- ふくらはぎを小虫がはいまわるようなむずがゆさ
- 電気が流れているようなビリビリ感
- ジンジンとしたしびれ感
- 針でつつくようなチクチク感
また、「かきむしりたくなる」「足がほてる」と訴える方もいます。むずむず脚症候群は、一般に広く知られた病気ではありません。そのため、夏は虫さされ・あせも・じんましんなどと、冬は座骨神経痛や皮膚の乾燥などと問違われることもあります。
しかし、むずむず脚症候群の場合、皮膚の素面ではなく奥のほうに症状を感じます。さらに、症状が起こると「足を動かしたい」という強い欲求にかられるのも、むずむず脚症候群の特徴です。むずむず脚症候群が始まると、夜、床に就いてもなかなか寝つけなかうたり、何度も日が覚めたりします。 睡眠中も、寝返りを頻繁にくり返したり、物を蹴飛ばすように足先やひざが跳ね上がったり、数秒間のけいれんが断続的に起こったりします。
そのため、睡眠時問をたっぷり取っても寝不足な感じが抜けず、昼問も疲労感や足のだるさが残ってしまうのです。
鉄分やビタミンB群が必要
むずむず脚症候群の原図は、まだはっきりとは解明されていません。今のところ、脳内のドーパミンという神経伝達物質がかかわっているという説が有力です。 ドーパミンには、運動や感覚をつかさどる神経の興奮を抑える働きがあります。
ドーバミンは鉄を媒介として生成されるため、鉄が欠乏するとドーパミンの合成ができなくなって、脳内でドーパミン不足が起こります。その結果、運動や感覚をつかさどる神経が異常に興背し、むずむず脚症候群が発症すると考えられているのです。
むずむず脚症候群は、同じ家系の人に多発することから、遺伝も疑われています。 また、パーキンソン病、妊娠、葉酸(ビタミンB群の一種)の不足、抗うつ薬の副作用なども、むずむず脚症候群の原因になると考えられています。
実際に、パーキンソン病の治療薬を飲んで、足のムズムズ感が解消した例が報告されています。 しかし、むしろこうした病気や薬の副作用、遺伝・妊娠などに当てはまらない人のほうが多いと考えられます。そうした人のムズムズ感や不眠は、睡眠導入剤を服用しても彗Hされません。だからといって、むずむず脚症候群を放置すれば、夜間ばかりか昼問も症状が起こったり、足以外の部位にまで、ムズムズ感が広がったりします。
むずむず脚症候群が悪化したせいで、職場で早退・欠勤をくり返す患者さんも少なくありません。現在では治療薬も問発されているので、症状がひどい場合は病院を受診するのが賢明です。その場合、睡眠専門医、あるいは神経内科医を受診してください。
自分でできる対処法としては、食事では、鉄分を多く含むレバー・赤身の肉・ホウレンソウ・ブロッコリーなどを模極的にとり、ビタミンB群や、血流を促すビタミンEも補給するといいでしょう。逆に、カフェイン、アルコールのとりすぎや喫煙は、症状を悪化させるので、控えるようにしましょう。ウォーキングのような、軽い運動もおすすめです。ただし、激しすぎる運動は、かえって症状を悪化させるので、控えます。
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