粗食は本当に体にいいの?

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食事は、文句なく残さず

飽食の時代と言われてから久しく、多くの人が「食べ過ぎ」を自覚しているためか、何年かごとに「粗食が体にいい」ブームが起こります。食べ過ぎ、飲み過ぎをなかったことにしてくれるこんな商品が売れまくっています。

たしかに、現代は24時間苦労しないで食べ物を見つけて口にできますから、食欲以に詰め込んでは、生活習慣病にまっしぐらです。

しかし、「腹八分目」と「粗食」は違います。たとえば、厳しい環境の中で生きている動物は、目の前のえさを逃したら、次にいつ食事にありつけるかわかりません。ですから、腹の中に詰め込めるだけ詰め込みます。

動物にはメタボもダイエットもありません。これを実験で、ラットをできるだけ動かさないようにして与えるえさも少なくすると、そのラットは長生きするのです。

ただただ長生きしたければ、生命を維持する最低限の栄養だけ摂って、活動量を少なくすればいいでしょう。一番いいのは「冬眠」状態です。

やせると長生きする、という説は、こんな実験からもきているのです。しかし、いくら「長生き」したいといっても、寝たままで余生を過ごしたいなどと思う人はいないでしょう。

そうすると、粗金艮ではとうてい体がもちません。かつて日本人は、一汁一菜といってご飯と汁物とおかず、それに漬物程度の食事をしていました。それが今や、主食はご飯だけでなくパンにパスタ、おかずも野菜・魚介類・肉・乳製品... あらゆるものを食べるようになりました。

中華、フレンチ、イタリアン、エスニック、その他どこそこの料理と、日常の食事にこれほど世界中の料理が入り込んでいる国があるでしょうか。そして戦前まで「人生50年」程度だった日本は、世界一の長寿国になったのです。平均寿命が著しく伸びた大きな原因は、栄養価の高いものを食べ、バラエティに富んだ食事をするようになったからと考えられます。

厚生労働省によると、高齢者数の統計を取り始めた50年前には、100歳以上の高齢者は全国で150人程度でしたが、2012年には5万人を突破し、330倍を超える計算になります。

人数はともかく、昔も今も、そういう長寿な人々は、バランスよくなんでも食べているのです。実際に、100歳を超えて元気でいる方々は、みな食いしん坊です。

陸上競技の投てき3種目で10 0歳以上の部門で世界記録を持つ故・下川原孝さんは「全部残さず、文句なく」がモットーの食生活だったといいます。好き嫌いや味の注文はせずに、出されたものを美味しく召し上がられたそう。

また余談ですが、下川原さんは健康法として朝、コップ1~2杯の水を3分ほどかけて味わうように噛みながら飲むことを実践されていたとのことです。

体にいい食べ物か悪い食べ物か、などと神経質に考えず、和食でも洋食でも、肉でも魚でも、出されたものは何でも美味しく食べる。甘いものもお酒も、決して遠ざけることなく楽しむ。長生きしたいと食べ物に気を追って毎日を過ごしたわけではなく、楽しく美味しく何でも食べる。つまり、バランスのとれた食事をよく噛んで食べ、その結果、無理なく長寿になったというわけです。