私にとって アルコールが最高のご褒美 であることは言うまでもありません。「 晩酌が好きで毎晩酒を飲んでいる 」という人は結構いらっしゃると思います。
身体依存 と 精神依存
酒が好きで毎日飲んでいるだけでは依存症ではありません。アルコールに対する依存が成立してアルコールへの依存には
- 身体依存
- 精神依存
の 2 種類があります。
身体依存
身体依存 は、やめると、離脱症状と呼ばれる身体の症状が起こる状態のこと。 耐性や精神依存が生じた状態で、多量の依存性アルコールを連用するようになると、やがて身体依存が形成されます。 もともと体は依存性薬物を摂取した状態では呼吸や脈拍などの機能に影響を受けます。
精神依存
精神依存 は、アルコールを連用することにより、アルコールが欲しくなる状態のことです。 アルコールを繰り返し飲み、習慣的に使用していると、しだいに「ないと物足りない」「アルコールなしではいられない」という状態になります。 このように薬物に対する渇望・欲求が生じる状態を精神依存といいます。
身体依存 自覚症状
身体依存 の自覚覚症状としては、
- 不眠
- 発汗
- 手のふるえ
- 血圧の上昇
- 不安
- いらいら
などがあり、重症の場合は
- 幻覚が見える
- けいれん発作
を起こしたりすることもあります。
離脱症状はかつて「禁断症状」と呼ばれていました。つねに体内にアルコールがあることが普通になると、アルコールが抜けたときに症状が出るのです。
酒がないと物足りなくなり飲みたいという欲求を感じるようになります。さらに精神依存が強くなると、酒が切れてしまうと家の中を探したり、わざわざ出かけて買いに行くような行動が現れます。
耐性・精神依存が形成され、長年ある程度の量の飲酒を習慣的に続けていると、しまいには身体依存が出現します。
精神依存 自覚症状
精神依存 は、飲酒がコントロールできなくなった状態です。たった 1 杯のつもりで飲みはじめても適量で終えることなく、泥酔するまで飲んでしまうのが典型例です。
精神依存が起こると、他のなによりも酒を飲むことが優先されるようになり、生活が「飲酒中心」 にまわるようになります。
飲酒中心の生活というと朝から飲んだくれる姿を想像するかもしれませんが、それは終末像です。飲み方にかかわらず、飲酒が最高の欲望充足手段(ご褒美) になっている状態が精神依存です。
酒を止めたり減らしたりしたときに、離脱症状と呼ばれる症状が出現するようになります。代表的な離脱症状としては、不眠・発汗・手のふるえ・血圧の上昇・不安・いらいら感などがあり、重症の場合は幻覚が見えたり、けいれん発作を起こしたりすることもあります。酒を止めるとこのような症状が出現してしまうので、症状を止めるためにまた飲酒するという悪循環となり、ますます酒を止めることが難しくなります。
また、アルコール依存症に特徴的なのは、アルコールに対する「耐性」がつくこと。
酒を飲み続けているうちに、同じ酔いを得るために必要なアルコールの量がだんだん増えてくるのです。急増する方もいますし、ゆっくり増加していく方もいます。それは「アルコールを分解する肝臓が鍛えられて強くなった! 」ということではありません。酔いを感じる脳の感受性が低下したことを意味します。
脳は、摂取したアルコールの量に比例して萎縮していきます。 そして脳の萎縮により、認知機能が低下したり、脳梗塞のリスクが高まったりといったことが起こります。
アルコール性認知症の症状
- 注意力・記憶力の低下
- 感情のコントロールができない
- 歩行時のふらつき
- 手の震え
- 作話(辻褄を合わせるための無意識の作り話)
- 自分がいる場所、現在のおおよその時間が分からなくなる
アルコール性認知症になりやすい人
高齢の方は、ただでさえ加齢による脳の機能低下があるため、アルコールによる影響を受けやすい、つまりアルコール性認知症になりやすいということが言えます。 特に定年退職されている方、配偶者を失くした方は、アルコールに手を出しやすい・多量摂取しやすい傾向にあります。
また、アルコール依存症とも深い関わりがあり、60 歳以上のアルコール依存症の方のうち、4 割以上が何らかの認知機能障害を合併しているという報告もなされています。
ご高齢の方に多いのは事実ですが、アルコールを多量摂取するのであれば、若い方にももちろん発症のリスクはあります。
酒量はどのくらいで依存になる可能性が高くなる
まず、どの程度の飲酒量が適当かということですが、厚労省が定める第1次健康日本21では、1日の飲酒量がアルコール換算で60g(ビール1500ml、日本酒3合、焼酎1.5合に相当する飲酒量)を超える飲酒を多量飲酒としました。また、第2次健康日本21では、男性では1日の飲酒量が40g(ビール1000ml、日本酒2合、焼酎1合に相当する飲酒量)、女性では20gを超える飲酒を生活習慣病のリスクを高める飲酒と定義しています。