糖尿病より怖い動脈硬化

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「動脈硬化」という言葉は、いまではとても耳に馴れた、なじみ深い言葉の1つです。動脈という、心臓から全身に酸素を送る血管が硬くなったり、厚くなったりして血のめぐりが悪くなったり、血管が詰まった状態を総称して、「動脈硬化」といいます。

ガンより怖い糖尿病ということで衝撃を受けたのですが、実はその糖尿病を上回る危険度の高い病気が「動脈硬化」だというところに行き着きました。 どうやったら動脈硬化を防げるのかを医学的側面から見てみました。動脈硬化の最大の危険国子は糖尿病です。 糖尿病を合併している方もいると思いますが、その場合どうしたらいいのでしょうか?

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日本人は脳卒中を起こしやすい体質

動脈硬化は全身の病気です。心臓の冠動脈が詰まれば心筋梗塞、脳の動脈が詰まれば脳梗塞、下肢の動脈が詰まれば下肢動脈閉塞症になります。そのうちのどこに症状が出るかは、誰にもわかりません。

しかしここに、興味深いデータがあります。日本人の動脈硬化は、頭に出やすい。つまり脳卒中として脳に出るケースが圧倒的に多いのです。日本人の死亡原因で見ると、たしかに心筋梗塞より脳卒中のほうが少ないですが、これは死に直結する脳出血が減り、認知症や半身麻痺などの後遺症を残して長く生きる脳梗塞が増えたからです。

日本では、心筋梗塞を1とすると、脳梗塞で倒れる人はその3倍。1対3の割合で脳梗塞が多くなります。アラブや中東の人たちは、心筋梗塞と脳梗塞の割合は1対1 、アングロサクソン、つまり白人に至っては、心筋梗塞3 に対して脳梗塞1 です。

人種によってこんなに差があるものかと、驚きます。 しかも、必ずしも高血圧症の人が脳卒中になるとは限りません。むしろ高血圧症の一歩手前、軽症高血圧の人に脳梗塞を起こす人がたくさんいるのです。

実際に、最も多く脳卒中を発症しているのは、上の血圧が130 ~140 mHGくらいの人たちです。 血圧が130ちょっとの人はどこにでもいますよね。しかもその人たちは、自分が高血圧だという意識がほとんどありません。たとえば、10人が脳卒中で救命センターに運び込まれたとします。そのうち4人は、いままでの人生で一度も高血圧と言われたことがない。そういう調査報告もあります。 高血圧ではないから安心と思っている人、心して聞いてください。脳卒中は必ずしも高血圧の病気ではないのです。 血圧が高い人は、生活習慣を見直し積極的に下げるために行動しましょう!

脳卒中は、破れる」から「詰まる」へ

もう1つ、脳卒中で大事なことがあります。同じ脳卒中といっても、ここ50~60年で脳卒中の中身が様変わりしたことです。脳卒中には、大きく3つのタイプがあります。

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血です。脳梗塞はさらに、ドロドロのコレステロール(プラーク)によって血管が詰まってしまう「アテローム血栓性梗塞」、細い動脈に動脈硬化が起きて詰まってしまう「ラクナ梗塞」、心臓にできた血栓が流れてきて血管を塞ぐ「心原性脳塞栓症」の3つがあります。

それに対して、脳の血管が破れて出血するのが脳出血、脳の血管にできた動脈痛の破裂などによって脳を覆っているくも膜と軟膜の問に出血するのがくも股下出血です。いまから50年以上前、1960年頃は、脳卒中といえば大半は脳出血でした。脳出血を起こすと手の施しようがなく、多くの方が数週間くらいで亡くなってしまうケースが多かったのです。

ところが、いまは減塩に気を遣いよい降圧剤も開発されたので、脳出血で倒れる人は少なくなりました。しかし、脳卒中が減ったわけではありません。血管が詰まる脳梗塞が増えたので、脳卒中自体は依然として減っていません。

お年寄りが増えたせいもあって、むしろ実際は年間あたりの脳卒中の発生率は20%ほど増加しています。人間は、脳の血管が詰まっただけでは、そんなに簡単に死にません。体が不自由なので外出や買い物は自由にできなくなりますが、脳出血のようにコロッとは死ななくなったのです。

先日、54人の寝たきりになった原因調査を行いました。平成16年3月31日現在、寝たきり患者の46% が脳血管疾患(くも股下出血、脳出血、脳梗塞など)、9%が認知症です。認知症の半分は脳血管疾患が原因ともいわれているので、合わせれば約5割が脳の血管の病気が引き金になっています。

脳の血管が破れるから、詰まるへ。それが寝たきり患者を増やしました。しかも脳梗塞によって寝たきりになると、その期間が長い。脳卒中で倒れてから寝たきりで過ごす期間は、平均で4.1年。それ以外の病気の場合は、約半分の2.1年です。 日本は世界でもトップクラスの長寿国です。しかし長生きしても寝たきりならば、辛い期間が長くなるだけになってしまいます。

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脳卒中は1つのリスクで発症する

動脈硬化が進行したその先にある代表的な病気が、心筋梗塞と脳卒中です。しかし、この2つの病気には、その起こり方に違いがあります。

病気には、その病気を起こしやすくする危険因子があり、それをリスクといいます。 動脈硬化の場合なら、血圧が高め、血糖値が高め、コレステロール値が高め、肥満がある、喫煙習慣がある...などがリスクとなって動脈硬化を進行させます。リスクが多ければ多いほど、その病気にかかりやすくなります。 一般的には、そのように考えられています。たとえば心筋梗塞は、リスクが1つずつ増えるにしたがって起きる危険度が高くなるという性質を持っています。

ですから、心筋梗塞はリスクがたくさんある人を集中的に指導すると、高い予防効果が期待できます。 ところが、必ずしもそうでない病気もあります。

たとえば、脳梗塞です。心筋梗塞と同じように血管が詰まる病気でありながら、脳梗塞はリスクが1つでもあれば起こる可能性が大きい。その危険度は、リスクが2つ、3つ、4つの人と比べて、そんなに低くないのです。 ですから、仮にメタボではなくても、リスクが1つでもあればきちんとした指導を受けることが脳梗塞を防ぐためには必要なのです。

「ちょっと高め」がいくつか重なると、動脈硬化がすごいスピードで進行すると、言いました。ところが脳梗塞で倒れた人たちを調べると、たった1つのリスクだけでほかに何もなかったというケースを多く認めています。 たった1つのリスクとは、高血圧です。しかし高血圧といっても、「ちょっと高め」にすぎません。ほとんどが、1の血圧で130台とか140台です。血圧が130~140台で、ほかに悪いところは何もないというあなた。さぞかし自分が健康だと思っているでしょう。もしかしたらそんなに太っていないので、特定健診も受けていないかもしれませんね。

でも、本当はそういう人がいちばん危険なのです。「自分は大丈夫」は、大丈夫ではないのです。「血圧がちょっと高めなだけ」と写っあなた。自分は脳梗塞のハイリスク群だと自覚して、ぜひ健診だけは受けてください。

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LDL コレステロール 適正 は HDL 比で考える

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LDL コレステロール 適正は HDL 比で考えるのが正解です。LDLコレステロールが増えると、血管の中がどんどん汚れていきます。ここで血管の掃除屋さんのHDL コレステロールが十分多ければ血管の中はきれいなままですが、LDL コレステロールが多い人はHDL コレステロールが少ないことが多いのです。

LDL コレステロール 適正 の考え方

LDL コレステロールは、体内の余分なコレステロールを組織に運び、動脈壁に沈着し、動脈硬化の原因となります。一方、HDLコレステロールは、組織や動脈壁から余分なコレステロールを回収し、肝臓に運んで排泄する役割を果たします。

そのため、HDLコレステロールが少ないと、余分なコレステロールが体内に留まり、動脈硬化の進行が進みやすくなります。

LDLコレステロールが多く、HDLコレステロールが少ない状態は、動脈硬化のリスクを高める要因となります。このような状態は、心血管疾患や脳血管疾患などの発症リスクを増加させる可能性があります。

そのため、健康的な生活習慣を通じてLDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増加させることが重要です。これには、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、ストレス管理などが含まれます。

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LDL コレステロールと HDL コレステロールはちょうど、部屋を散らかす子どもと掃除するお母さんの関係によく似ています。タバコや高血糖、そして高血圧で血管の内側に傷がつき、そこから LDL コレステロールがしみ込んでたまってしまいます。

これを駆除しようとしてマクロファージが LDL コレステロールを食べ尽くそうとしますが、 LDL コレステロールのあまりの多さにマクロファージは力尽きて死んでしまいます。

こうしてできたマクロファージの死骸と LDL コレステロールの塊によってできたものがプラークです。

高LDLコレステロール血症
LDLコレステロール 140 mg/dl 以上
低HDL コレステロール血症
HDLコレステロール40 mg/dl 未満
高トリグリセリド血症
中性脂肪150 mg/dl 以上

それでは、LDLコレステロール値は 140 mg/dl を超えていなければ大丈夫なのでしょうか。いいえ、そうでもありません。心筋梗塞を起こす人の LDL コレステロール値の平均は、多くの観察研究で 120m g/dl を下回っています。

もともと、LDL コレステロールは、「悪玉コレステロール」と呼ばれ、動脈壁に蓄積して動脈硬化や心臓病のリスクを高める可能性があります。120m g/dl を下回っている人が心筋梗塞を起こしてしまうのはそうです。この数値だけで判断するのは,間違っているということになります。

そこで、いま注目されているのが LDL HDL 比です。LDLレステロール値をHDLコレステロール値で割ります。この比が 2.0 を超える人は、心筋梗塞や脳梗塞が起りやすいことがわかっています。

予防ではこのLSL/HDL比を2.0以下に、また、すでに脳卒中や心筋梗塞を起こしたことのある人、あるいは糖尿病の人は1.5以下にすることを目標に、調整を考えます。

心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすい人の LDL HDL比について

心筋梗塞や脳梗塞などの血管障害を起こしやすい人の LDL(低比重リポタンパク)と HDL(高比重リポタンパク)の比率については、一般的に以下のような特徴がわかってきました。

  1. 高LDLコレステロール: LDLコレステロールは、動脈硬化や血管の壁に蓄積し、血管を詰まらせる原因となります。心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高い人は、通常、血中のLDLコレステロールが高い傾向があります。

  2. 低HDLコレステロール: HDLコレステロールは、体内の余分なコレステロールを運び、肝臓に排出する役割を果たします。HDLコレステロールが低いと、余分なコレステロールが体内に留まり、血管に蓄積しやすくなります。したがって、低HDLコレステロールは心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める要因となります。

  3. 高LDL/HDL比: 心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすい人は、一般的にLDLコレステロールが高く、HDLコレステロールが低いため、LDL/HDL比が高い傾向があります。LDL/HDL比が高いと、動脈硬化や血管障害の進行が進みやすくなり、心血管イベントの発生リスクが増加します。

心筋梗塞や脳梗塞の予防には、LDL/HDL比を改善するための努力が重要です。これには、健康的な食事、適度な運動、禁煙、ストレス管理などのライフスタイルの改善が含まれます。

動脈硬化のさまざまな計り方をご紹介しましたが、ご自分の体を評価するとき、とにかく1つでも多くの指標を使ってほしいと思います。それぞれの指標は、それぞれの側面をとらえています。

たとえば、「血圧が高いので血管は硬くなっているが、血管の材質は実は柔らかい」とか、その道で、「血圧がそこそし低いので血管は柔らかめだが、プラークだらけ」だったり、「プラークはないのに血管は硬い」だったり...。

人の顔と同様、血管の状態もさまざまです。しかし、ここで明記しておきたいのは、糖尿病の人、糖尿病予備軍の人は、時間の差こそあれ、いずれこれらすべての指標が悪くなります。本当に、悲しくなるくらい速いスピードでどんどん悪くなります。

そのときに、何の自覚症状もないことがとても多いのです。 いまの日本は、世界でも有数の高齢化を迎え、高齢先進国となりつつあります。しかし幸いなことに、日本は世界でいちばん血圧計を自前で持っている園であり、動脈硬化の評価に関して最も研究が進んでいる国の1つでもあると思います。

フォルムもバセラも頚動脈エコーも血圧計も、日本ほどたくさん整備されている国はありません。何度も書くように、動脈硬化にはまったく自覚症状がありません。

ある日突然、「5年生存率50%」と宣言されて驚く病気です。いや、むしろ、宣告されてもなおピンとこない人の多い病気なのです。

「もう絶対に血圧も脈拍も計らない」という人によく出会います。 「何ともないのにこんなに数字が悪いなんて、信じられないし、気分が悪い」と言うのです。気持ちはわかります。よくわかります。

腎機能が年々落ち込んでいくのを毎月毎月眺めていたのに、いざ「透析を始めましょう」と言われても、なかなか実感がわきませんでした。 むしろ、透析をスタートして3年、いろいろな手術や、いろいろな小さな事故を主治医の先生と乗り越えていくたびに、「ここで間違ったら死んでいたよなー」とつくづく思い、「5年生存率50%」が静かに実感されます。

症状はないけれど、動脈硬化は確実に進行しています。そして糖尿病やその予備草では、進行のスピードが速い。糖尿病、あるいはその予備軍と疑われた人たちは少しでも早くこのことに気づき、よりよい未来のイメージを生み出せるように、なるべく多くの側面からご自分の血管を評価してください。

コワイのは糖尿病の合併症です。

プラークが意味するもの

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頸動脈エコーでは、コレステロールの層の厚さだけでなく、プラークの有無もわかります。通常、40歳くらいの人で、稔頚動脈にプラークを見ることはほとんどありません。しかし、糖尿病や境界型糖尿病に限っては、比較的若い頃からこのプラークがしばしば見つかります。

プラークの一部が破綻したり、破綻したプラークのカケラが血流に乗って脳に飛んでいくと、おそらく脳梗塞を起こします。プラーク自体は、何の症状も起こしません。またプラークがあるからといって、必ず脳梗塞を起こすというものでもありません。

しかし、こんなに太くて大きな血管にコレステロールが沈着して固まっているのなら、もっと小さい血管はさぞかし...と思うのは、私だけでしょうか。プラークができやすい場所があります。稔頚動脈は脳へ向かう内頚動脈と、顔へ向かう外頚動脈に枝分かれします。 この分岐部にあたるところは、少し径が太くなるのが普通です。

画像で「ココ」と示す部位は、非常に多くの人で1 mm以上に肥厚しています。とくに、糖尿病や境界型糖尿病などがあると、3 mm以上にまで肥厚しているものもよく見かけます。 その多くは、将来成長していきます。

血流は、この突起の周囲で乱流をつくり、突起の前後の部位をますますえぐっていきます。ここに大きな圧がかかり続けると、プラークがちぎれて飛ぶという、考えただけでも身の毛のよだつことが起きます。

経験した症例で一例、このような状態で発見したプラークが2週間後にちぎれて飛んで、左半身が完全麻痺した方がいました。恐ろしいことに、その日まではまったく無症状です。糖尿病がある人、脂質異常症がある人、高血圧症の人は、ぜひ、頸動脈エコーの検査を受けてください。

場合によっては保険が使えます。まったく症状がないのに、自分の体の中に大事故の芽が潜んでいることを知っていれば、人生が少し変わるかもしれません。本気になれば、ある程度はプラークを取り除くことができるのです。重要なことは、ご自分にプラークが発見されたとき、あなたの家族もプラークができる環境に首までしっかり浸かっているということです。

いまのあなたの状態は、子どもたちの30年、40年後に確実に反映されます。目をそらさず、必ず家族で食生活の改善に取り組んでください。プラークの発見は、あなただけでなく子どもたちの健康と未来をつくるチヤンスなのですから。 硬くなってしまった血管もやり方次第で柔らかな血管に回復できるなども参考になります。

日頃から桜島活泉水で血液さらさらなどを飲む習慣も大切です。血管の中は目に見えませんが、状態が悪化しだすと非常にデリケートです。

食べたものが血管に与える影響について

血管にはこれまで食べたものが反映されるところで、頚動脈エコーで映し出されるコレステロールの層は、何を意味しているのでしょぅか。特別な病気になると、コレステロール層も厚くなるのでしょうか。

たしかに、糖尿病や境界型糖尿病、脂質異常症、高血圧症の人では顕著なIMT (内中膜肥厚) が見られる傾向があります。しかし、知っておいてほしいことは、このコレステロールの層は、100% あなたがいままでに食べてきたコレステロールの残りカスがくつついたものだということです。 血管の壁に、どのくらいの残りカスがついているか。頚動脈エコーは、実に単純明快な検査です。血糖値検査のように、1ヶ月ぐらい前からあわてて食事療法などをしても、IMTの結果は変わりません。

いままでのあなたの何十年かの人生の、よいも悪いもその結果が、愚直に映し出されます。 総頸動脈の内中膜の厚みを計ったとき、最も厚かった部位の厚さを「MAX IMT」と呼び、その両側10 mのところを計って平均したものを「MEAN IMT」といいます。

「動脈硬化は年齢とともに進む」という考えが一般的だと思いますが、血管をたくさん観察していると、本当にそうだろうかという疑問が生まれます。 たしかに大きな集団で見ると、平均値は年齢とともに厚くなるのですが、歳をとってもこのコレステロールの層が薄い人はたくさんいます。そういう人は、やはり糖尿病もなければ脂質異常症もなく、多くは高血圧もない。そんな人をよく見かけます。

逆に言うと、糖尿病、脂質異常症、高血圧症は、直接的にも間接的にもコレステロールの層を厚くする方向に働いていると思います。

食後高血糖は動脈硬化を促進させます。

血糖値を下げるためのテンペ菌発酵茶の使用感

自分の動脈硬化の現状

自分の動脈硬化の現状 をある程度把握している人はほとんどいないといってもいいでしょう。

血管が硬い、血管の内腔が狭い、血管が詰まる、血管がボロポロ、血管が破れやすい...どれも動脈硬化を表す言葉です。これらを整理すると、「血管の形状を表す」言葉と、「血管の性質を表す」言葉に分けることができます。

自分の動脈硬化の現状

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つまり動脈硬化には、血管の形状が変わるという側面と、性質が変わるという側面があるのです。したがって動脈硬化の状態を知るには、この両側面から観察しなければなりません。 動脈硬化の度合いは、いろいろな指標によって計ることができます。

1.血圧

最も簡単に計れる動脈硬化の指標は、血圧です。血管が硬く、また目詰まりを起こして流れが悪くなると、体は血流によって運ばれてくるはずだった不足分の栄養や酸素を欲しがって、心臓や血管に命令を出します。

「もっと圧力を上げて血液を送れ! 」と。 ですから、血管が硬いほど、目詰まりが多いほど、血圧は高くなります。血液は心臓が1回1回拍動するたびに、シューッ、シューッとすごい勢いで心臓から送り出されます。

1回、60~80ml。心臓は1日に約10万回動きますから、1日に6000~8000 リットルの血液を休みなく送り出していることになります。 このシューッ、シューッと血液が送り出されるときに、血液が血管に打ちつけられる際の1回1回の圧。上の血圧が120 mmHGの人と150 mmHGの人では、1回1回にはさほど大きな違いはないと思いますが、これが1日10万回となると、血管にかかる負担はまったく違います。

この30 mmHGの血圧の違いで、80歳代で脳卒中になるか、90歳代まで元気かという大きな差が出ています。血圧は、血管の硬さや目詰まりの度合いを稀合的に表現している動脈硬化の代表的な指標といえます。

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2.脈圧

次に日常で簡単に計れる指標が、脈庄です。脈庄は「上の血圧」から「下の血圧」を引いたものです。結論から言いますと、この脈庄が大きければ大きいほど、血管は硬くなります。 「私は上の血圧は高いけど、下の血圧が低いので問題ない」と変な自信を持っている人をたまに見かけますが、この上の血圧が高くて下の血圧が低い人、つまり差きい人も、非常に危険であることがわかっています。

下の血圧がやや低い人に対して「歳をとると自然に下の血圧は低くなる」と説明すると、「下の血圧は低くてもいい」という誤解を生みます。では、誤解が生じないように、脈庄が、あるいは下の血圧がどんな意味を持っているのか説明するのには、どうしても30分くらいの時間が必要です。 「脈圧が大きい人ほど、動脈硬化が進んでいます」と言うことにしています。

ただし、例外があります。大動脈弁という弁の働きが悪くなっているケースです。大動脈弁は心臓から体中に血液を送るそのスタートラインに3枚あり、血液の逆流を食い止めています。 この弁の働きが悪くなって血流が心臓のほうに逆流し始めると、下の血庄は大きく下がります。大動脈弁の異常は70歳を超えた高齢の人によく見つかりますが、治療が必要ないケースが多いです。脈庄は、血管が硬くなつたことを示す、性質の面での指標です。

3.IMT(内中膜肥厚)見る頸動脈エコー

動脈硬化を比較的簡単に日で見る方法としておすすめしたいのは、頚動脈エコーです。絶食やその他の事前準備はまったく必要なく、頚部エコー用の機械がある医療機関なら、いつでも検査が受けられます。

糖尿病がある人、血圧が高い人、LDLコレステロール値が高い人(とくにLDL/HDL比が2.0超。)には積極的にこの検査をすすめています。 これは、首から脳へと続く総頚動脈を、魚群探知機の精密版のようなもので観察する検査です。これによって、コレステロールのたまり具合が一目でわかります。

まず、血管の内中膜(血管を構成している内膜と中腹) の厚さを計ると、コレステロールがどれくらいたまっているかわかります。 平均的な数字を示すと、70歳で1ミリくらいだといわれていますが、年齢と比べて評価することはあまり意味がないと思います。同じ年齢でも内申膜の厚さはさまざまですし、平均値で人並みだから安心というわけでもありません。 しかし、何歳になっても内申中は薄いほうがよいに決まっています。

それは、血管にコレステロールがたまっていないということですから。この検査のもう1つの大事な点は、プラークの発見です。 プラークとは、たまったコレステロールによって内中膜が盛り上がり、1.1ミリ以上の突起となったものをいいます。

これが「アテローム性粥状動脈硬化」の原因になります。 このプラークによって血管の内腔が狭くなり、血流が悪くなることも大変な問題ですが、それよりも、「プラークがある」ということが重要です。 頸動脈は、内径が6~8 ミリほどの比較的太くて大きな血管です。こんなに大きな血管にコレステロールの塊があるのならば、もっと細い血管ではさぞかしたくさんの目詰まりが起こつているのではないかと推測されます。またこのプラークが脳に飛ぶと、脳梗塞の原因になります。

4.脈派速度

近頃、広く普及している動脈硬化の指標は、「フォルム」と「バセラ」によるものです。 どちらも基本原理は同じで、脈披速度を計る検査機器です。脈波速度とは、血管の壁がエネルギーを伝えるスピードです。

たとえば他に小石を投げ入れると、さざ波がまわりに広がっていきます。血管も同じように、心臓が一拍ドタンと打つと、そのエネルギーは血管の壁を伝わって指先や足先へと届きます。その、伝わる速度を計ります。フォルムでは、腕と足首に血圧計のカフを巻いて、同時に心電図と心音図を調べます。

すると、エネルギーが心臓から腕に伝わった時間と、心臓から足首に伝わった時間がわかります。このスピードが速ければ速いほど血管は硬くなっています。この原理は、マラソンランナーに例えるとわかりやすいでしょう。 ランナーが硬いアスファルトの上を走ると、スピードは出ます。しかし、足と路面の間の衝撃は非常に強く、足と地面のどちらも大きなダメージを受けます。

これに比べて、柔らかい砂の上を走るランナーはスピードが出ません。しかし、衝撃のエネルギーは砂に吸収されるので、足が痛みません。1 50この原理を利用して、でんばフォルムは血管がエネルギーを伝播するスピードを調べます。誤解してはいけないのは、血流のスピードを見ているわけではないことです。 フォルムで調べた脈波速度は、いろいろなものの影響を受けます。いちばん大きく、素早く影響を受けるのは、なんといっても血圧です。血圧が高めの日と低めの日では、脈波速度が大きく異なります。2番目に影響するのは年齢です。

そのほか、糖尿病の有無、脂質異常症の有無、腎機能障害の有無も大きく影響します。ここで重要なことは、フォルムによる脆波速度は、いろいろな影響を総合的にまとめた結果だということです。ですから健診などでは、とても有用な検査です。 この脈波速度という指標は、血圧が高くても、高齢者でも、糖尿病でも脂質異常症でも腎臓が悪くても、あるいは極度に緊張しただけでも高い数値が出ます。なぜ高く出たかをよく考えて原因を探すのが、医者の仕事です。

これに対し、バセラは少し違います。同じように脈波速度をもとにしていますが、血圧の変化に敏感な脈波速度の特徴を、血圧が変化しても大きく変わらないように工夫したものが、バセラを使用したCAVI値です。 よく、どっちのほうが有用かというご質問をいただきますが、どちらも血管の違う側面を見ていますので、どちらが有用とは言えません。フォルムは全国に1万台以上普及していますから、担当医に有無を確かめてみてください。何回か通院されて、よいときも悪いときも測定してみると、ご自分の血管の性格の全体像がつかめると思います。

5.AI

いまいちばん新しい指標です。心臓にかかる負担を診る指標といわれています。脈波速度は、心臓から出ていくエネルギーが末梢(手足の端々)へ伝わるスピードです。このエネルギーは末梢で跳ね返り、反射波として、心臓へ向かって帰ってきます。 重要なことは、行く波が速いと、反射波も速く帰ってくることです。

すると、血管の中で波が重なります。行く波と帰る彼の重なりが大きいと、そのエネルギーは大きくなって血管や臓器に大きなダメージを与えます。逆に波の重なりが小さいと、血管をたたく力も小さく、ダメージは少なくなります。この波の重なり具合を評価するのが、AIです。まだ一般的に普及しているとはいえませんが、実施する医療機関は少しずつ増えているようです。

6.ABI

この指標は非常に古典的ですが、生命の予後を表すことにかけては昔からよく使われてきました。基本的にむずかしい装置は必要なく、血圧計1つで計ることができます。原理は簡単、足首の血圧と上腕の血圧の比を見ます(ABI=足首で計った上の血圧÷上腕で計った上の血圧)。

通常、血圧は心臓をスタート地点として、体の端へ行くほど高くなります。「アレ、低くなるんじゃないの? 」と思う人もいるでしょう。1つには「アンプリファイア(増幅) 効果」といって、電気でいうなら電流と電圧の関係に似た原理で、上腕より足首の血圧のほうが高くなります。

もう1つは、脈彼のところでお話ししたように、進行波と反射波の重なり具合の関係からも、血圧は上腕より手首、上腕より足首のほうが高くなります。 したがって通常は、足首より上腕の血圧のほうが低く、ABIは1.0より大きな数字になります。実際には、0.9以下を異常とすることが多いようです。

7.脈診

中医学、あるいは漢方医学の先生は、かなり正確に脈を指で触診しています。ある大学に留学中の中医学の研修生に脈の触れ具合を図示してもらったところ、直接血管に針を刺して調べるカテーテルによって描き出された波形と、ほとんど同じ波形をスケッチで表出したそうです。

いまは若い医師が脈診をしている姿をほとんど見かけなくなりましたが、熟練した内科の先生の脈診、触診、聴診は、かなり正確に動脈硬化をとらえていると思います。

血管はもっと若返る

ガンより怖い糖尿病

動脈硬化の最大の危険国子は糖尿病

塩分 の 過剰摂取がなぜ 血圧 を上げてしまうのか

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塩分 の 過剰摂取がなぜ 血圧 を上げてしまうのか 疑問に思っている人も多いかもしれません。

血圧と塩分(ナトリウム)の関係が具体的になったのは、この 50 年くらいの研究成果です。なかでも興味深いのは、塩分摂取量が少ない民族では、年齢を経ても血圧が上がらないことです。

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有名なのは、南米ギアナ高地に住むヤノマミ族。 彼らは調理に塩分を使わないため、血圧が高い人はほとんどおらず、上の血圧が 100 mmHG 下の血圧が 60 mmHG くらいしかいません。

逆に塩分摂取が多い民族は、年齢とともに血圧が上がることがわかっています。なぜ、塩分をとりすぎると血圧が上がるのでしょうか。

簡単に説明すると人間の体には、ナトリウム濃度をつねに一定に保とうとする働きがあります。 ところが、塩分をとりすぎたり、腎臓でのナトリウムの排泄機能が低下すると、体内にナトリウムがたまってきます。

塩分が多いものを食べると、水が飲みたくなります。それと同じように、体内にナトリウムがたまると、それを薄めようとして水分が集まってきます。そのために血液をはじめとする体液の量が増えて、血液であれば、それを押し出すときに血管に強い圧力がかかってしまうのです。

動脈硬化の最も簡便な指標として血圧を見るとき、塩分は動脈硬化を進行させる物質であることがはっきりわかります。

塩分は摂りすぎないように努力しなければいけませんが、過剰に摂取してしまった場合はどうしたらいいのでしょうか? それはカリウムを摂ることです。カリウムは塩分を排泄します。 食塩を排泄するカリウムが豊富「りんご」 カリウムは、果物、生の野菜などに多く含まれます。

カリウムに血圧を下げる働きがあることがわかったのは、もう 50 年以上も前のことです。そして血圧を下げる薬がまだなかった時代に、どうしようもない高血圧が、ご飯とくだものだけの食事でみごとに下がったという例も報告されました。

それからもう1つやっかいなことは、カリウムを多く含んだ食べ物も、ゆでたり煮たりして調理すると、かなりの量のカリウムが失われてしまうことです。ナスやキュウリなども、輪切りにして水洗いすると、カリウムはほとんど失われてしまいます。

ということは、生のまま食べられるくだものや野菜(キャベツ、レタス、パセリなど) が好ましいということになります。それも新鮮なものがすすめられます。
トマトやオレンジなどもそのまま食べるか、フレッシュジュースにするのならカリウムが豊富に含まれていますが、缶詰めとか缶入りのジュースになったものには、カリウムはほとんど入っていません。

カリウムを豊富に含む食材

食品名 加工状態など 含有量
切り干し大根 乾燥 3,500mg
ドライトマト 乾燥 3,200mg
アボカド 720mg
ほうれん草 690mg
枝豆 冷凍 650mg
人参 630mg
モロヘイヤ 530mg
小松菜 500mg
ブロッコリー 460mg
西洋かぼちゃ 450mg

カリウムを豊富に含む果物

食品名 加工状態など 含有量
ドライバナナ 乾燥 1,300mg
ドライマンゴー 乾燥 1,100mg
干し柿 乾燥 670mg
バナナ 360mg
メロン(露地栽培、青肉/赤肉) 350mg
キウイフルーツ(黄) 300mg
キウイフルーツ(緑) 290mg
さくらんぼ(米国産) 260mg
さくらんぼ(国産) 210mg
パパイア(完熟) 210mg