自分の動脈硬化の現状

自分の動脈硬化の現状 をある程度把握している人はほとんどいないといってもいいでしょう。

血管が硬い、血管の内腔が狭い、血管が詰まる、血管がボロポロ、血管が破れやすい...どれも動脈硬化を表す言葉です。これらを整理すると、「血管の形状を表す」言葉と、「血管の性質を表す」言葉に分けることができます。

自分の動脈硬化の現状

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つまり動脈硬化には、血管の形状が変わるという側面と、性質が変わるという側面があるのです。したがって動脈硬化の状態を知るには、この両側面から観察しなければなりません。 動脈硬化の度合いは、いろいろな指標によって計ることができます。

1.血圧

最も簡単に計れる動脈硬化の指標は、血圧です。血管が硬く、また目詰まりを起こして流れが悪くなると、体は血流によって運ばれてくるはずだった不足分の栄養や酸素を欲しがって、心臓や血管に命令を出します。

「もっと圧力を上げて血液を送れ! 」と。 ですから、血管が硬いほど、目詰まりが多いほど、血圧は高くなります。血液は心臓が1回1回拍動するたびに、シューッ、シューッとすごい勢いで心臓から送り出されます。

1回、60~80ml。心臓は1日に約10万回動きますから、1日に6000~8000 リットルの血液を休みなく送り出していることになります。 このシューッ、シューッと血液が送り出されるときに、血液が血管に打ちつけられる際の1回1回の圧。上の血圧が120 mmHGの人と150 mmHGの人では、1回1回にはさほど大きな違いはないと思いますが、これが1日10万回となると、血管にかかる負担はまったく違います。

この30 mmHGの血圧の違いで、80歳代で脳卒中になるか、90歳代まで元気かという大きな差が出ています。血圧は、血管の硬さや目詰まりの度合いを稀合的に表現している動脈硬化の代表的な指標といえます。

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2.脈圧

次に日常で簡単に計れる指標が、脈庄です。脈庄は「上の血圧」から「下の血圧」を引いたものです。結論から言いますと、この脈庄が大きければ大きいほど、血管は硬くなります。 「私は上の血圧は高いけど、下の血圧が低いので問題ない」と変な自信を持っている人をたまに見かけますが、この上の血圧が高くて下の血圧が低い人、つまり差きい人も、非常に危険であることがわかっています。

下の血圧がやや低い人に対して「歳をとると自然に下の血圧は低くなる」と説明すると、「下の血圧は低くてもいい」という誤解を生みます。では、誤解が生じないように、脈庄が、あるいは下の血圧がどんな意味を持っているのか説明するのには、どうしても30分くらいの時間が必要です。 「脈圧が大きい人ほど、動脈硬化が進んでいます」と言うことにしています。

ただし、例外があります。大動脈弁という弁の働きが悪くなっているケースです。大動脈弁は心臓から体中に血液を送るそのスタートラインに3枚あり、血液の逆流を食い止めています。 この弁の働きが悪くなって血流が心臓のほうに逆流し始めると、下の血庄は大きく下がります。大動脈弁の異常は70歳を超えた高齢の人によく見つかりますが、治療が必要ないケースが多いです。脈庄は、血管が硬くなつたことを示す、性質の面での指標です。

3.IMT(内中膜肥厚)見る頸動脈エコー

動脈硬化を比較的簡単に日で見る方法としておすすめしたいのは、頚動脈エコーです。絶食やその他の事前準備はまったく必要なく、頚部エコー用の機械がある医療機関なら、いつでも検査が受けられます。

糖尿病がある人、血圧が高い人、LDLコレステロール値が高い人(とくにLDL/HDL比が2.0超。)には積極的にこの検査をすすめています。 これは、首から脳へと続く総頚動脈を、魚群探知機の精密版のようなもので観察する検査です。これによって、コレステロールのたまり具合が一目でわかります。

まず、血管の内中膜(血管を構成している内膜と中腹) の厚さを計ると、コレステロールがどれくらいたまっているかわかります。 平均的な数字を示すと、70歳で1ミリくらいだといわれていますが、年齢と比べて評価することはあまり意味がないと思います。同じ年齢でも内申膜の厚さはさまざまですし、平均値で人並みだから安心というわけでもありません。 しかし、何歳になっても内申中は薄いほうがよいに決まっています。

それは、血管にコレステロールがたまっていないということですから。この検査のもう1つの大事な点は、プラークの発見です。 プラークとは、たまったコレステロールによって内中膜が盛り上がり、1.1ミリ以上の突起となったものをいいます。

これが「アテローム性粥状動脈硬化」の原因になります。 このプラークによって血管の内腔が狭くなり、血流が悪くなることも大変な問題ですが、それよりも、「プラークがある」ということが重要です。 頸動脈は、内径が6~8 ミリほどの比較的太くて大きな血管です。こんなに大きな血管にコレステロールの塊があるのならば、もっと細い血管ではさぞかしたくさんの目詰まりが起こつているのではないかと推測されます。またこのプラークが脳に飛ぶと、脳梗塞の原因になります。

4.脈派速度

近頃、広く普及している動脈硬化の指標は、「フォルム」と「バセラ」によるものです。 どちらも基本原理は同じで、脈披速度を計る検査機器です。脈波速度とは、血管の壁がエネルギーを伝えるスピードです。

たとえば他に小石を投げ入れると、さざ波がまわりに広がっていきます。血管も同じように、心臓が一拍ドタンと打つと、そのエネルギーは血管の壁を伝わって指先や足先へと届きます。その、伝わる速度を計ります。フォルムでは、腕と足首に血圧計のカフを巻いて、同時に心電図と心音図を調べます。

すると、エネルギーが心臓から腕に伝わった時間と、心臓から足首に伝わった時間がわかります。このスピードが速ければ速いほど血管は硬くなっています。この原理は、マラソンランナーに例えるとわかりやすいでしょう。 ランナーが硬いアスファルトの上を走ると、スピードは出ます。しかし、足と路面の間の衝撃は非常に強く、足と地面のどちらも大きなダメージを受けます。

これに比べて、柔らかい砂の上を走るランナーはスピードが出ません。しかし、衝撃のエネルギーは砂に吸収されるので、足が痛みません。1 50この原理を利用して、でんばフォルムは血管がエネルギーを伝播するスピードを調べます。誤解してはいけないのは、血流のスピードを見ているわけではないことです。 フォルムで調べた脈波速度は、いろいろなものの影響を受けます。いちばん大きく、素早く影響を受けるのは、なんといっても血圧です。血圧が高めの日と低めの日では、脈波速度が大きく異なります。2番目に影響するのは年齢です。

そのほか、糖尿病の有無、脂質異常症の有無、腎機能障害の有無も大きく影響します。ここで重要なことは、フォルムによる脆波速度は、いろいろな影響を総合的にまとめた結果だということです。ですから健診などでは、とても有用な検査です。 この脈波速度という指標は、血圧が高くても、高齢者でも、糖尿病でも脂質異常症でも腎臓が悪くても、あるいは極度に緊張しただけでも高い数値が出ます。なぜ高く出たかをよく考えて原因を探すのが、医者の仕事です。

これに対し、バセラは少し違います。同じように脈波速度をもとにしていますが、血圧の変化に敏感な脈波速度の特徴を、血圧が変化しても大きく変わらないように工夫したものが、バセラを使用したCAVI値です。 よく、どっちのほうが有用かというご質問をいただきますが、どちらも血管の違う側面を見ていますので、どちらが有用とは言えません。フォルムは全国に1万台以上普及していますから、担当医に有無を確かめてみてください。何回か通院されて、よいときも悪いときも測定してみると、ご自分の血管の性格の全体像がつかめると思います。

5.AI

いまいちばん新しい指標です。心臓にかかる負担を診る指標といわれています。脈波速度は、心臓から出ていくエネルギーが末梢(手足の端々)へ伝わるスピードです。このエネルギーは末梢で跳ね返り、反射波として、心臓へ向かって帰ってきます。 重要なことは、行く波が速いと、反射波も速く帰ってくることです。

すると、血管の中で波が重なります。行く波と帰る彼の重なりが大きいと、そのエネルギーは大きくなって血管や臓器に大きなダメージを与えます。逆に波の重なりが小さいと、血管をたたく力も小さく、ダメージは少なくなります。この波の重なり具合を評価するのが、AIです。まだ一般的に普及しているとはいえませんが、実施する医療機関は少しずつ増えているようです。

6.ABI

この指標は非常に古典的ですが、生命の予後を表すことにかけては昔からよく使われてきました。基本的にむずかしい装置は必要なく、血圧計1つで計ることができます。原理は簡単、足首の血圧と上腕の血圧の比を見ます(ABI=足首で計った上の血圧÷上腕で計った上の血圧)。

通常、血圧は心臓をスタート地点として、体の端へ行くほど高くなります。「アレ、低くなるんじゃないの? 」と思う人もいるでしょう。1つには「アンプリファイア(増幅) 効果」といって、電気でいうなら電流と電圧の関係に似た原理で、上腕より足首の血圧のほうが高くなります。

もう1つは、脈彼のところでお話ししたように、進行波と反射波の重なり具合の関係からも、血圧は上腕より手首、上腕より足首のほうが高くなります。 したがって通常は、足首より上腕の血圧のほうが低く、ABIは1.0より大きな数字になります。実際には、0.9以下を異常とすることが多いようです。

7.脈診

中医学、あるいは漢方医学の先生は、かなり正確に脈を指で触診しています。ある大学に留学中の中医学の研修生に脈の触れ具合を図示してもらったところ、直接血管に針を刺して調べるカテーテルによって描き出された波形と、ほとんど同じ波形をスケッチで表出したそうです。

いまは若い医師が脈診をしている姿をほとんど見かけなくなりましたが、熟練した内科の先生の脈診、触診、聴診は、かなり正確に動脈硬化をとらえていると思います。

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