動脈硬化のさまざまな計り方をご紹介しましたが、ご自分の体を評価するとき、とにかく1つでも多くの指標を使ってほしいと思います。それぞれの指標は、それぞれの側面をとらえています。
たとえば、「血圧が高いので血管は硬くなっているが、血管の材質は実は柔らかい」とか、その道で、「血圧がそこそし低いので血管は柔らかめだが、プラークだらけ」だったり、「プラークはないのに血管は硬い」だったり...。
人の顔と同様、血管の状態もさまざまです。しかし、ここで明記しておきたいのは、糖尿病の人、糖尿病予備軍の人は、時間の差こそあれ、いずれこれらすべての指標が悪くなります。本当に、悲しくなるくらい速いスピードでどんどん悪くなります。
そのときに、何の自覚症状もないことがとても多いのです。 いまの日本は、世界でも有数の高齢化を迎え、高齢先進国となりつつあります。しかし幸いなことに、日本は世界でいちばん血圧計を自前で持っている園であり、動脈硬化の評価に関して最も研究が進んでいる国の1つでもあると思います。
フォルムもバセラも頚動脈エコーも血圧計も、日本ほどたくさん整備されている国はありません。何度も書くように、動脈硬化にはまったく自覚症状がありません。
ある日突然、「5年生存率50%」と宣言されて驚く病気です。いや、むしろ、宣告されてもなおピンとこない人の多い病気なのです。
「もう絶対に血圧も脈拍も計らない」という人によく出会います。 「何ともないのにこんなに数字が悪いなんて、信じられないし、気分が悪い」と言うのです。気持ちはわかります。よくわかります。
腎機能が年々落ち込んでいくのを毎月毎月眺めていたのに、いざ「透析を始めましょう」と言われても、なかなか実感がわきませんでした。 むしろ、透析をスタートして3年、いろいろな手術や、いろいろな小さな事故を主治医の先生と乗り越えていくたびに、「ここで間違ったら死んでいたよなー」とつくづく思い、「5年生存率50%」が静かに実感されます。
症状はないけれど、動脈硬化は確実に進行しています。そして糖尿病やその予備草では、進行のスピードが速い。糖尿病、あるいはその予備軍と疑われた人たちは少しでも早くこのことに気づき、よりよい未来のイメージを生み出せるように、なるべく多くの側面からご自分の血管を評価してください。
コワイのは糖尿病の合併症です。
コメント